ニュース番組で「天才」を「アホ」と間違える こんなことが起きる報道現場の事情

あんな天才いない」とテロップするつもりが「あんなアホいない」に…京都アニメーションに関するフジテレビのニュース番組「Live News it!」のテロップミスを見て驚いた人も多いだろう。そもそもこれでは意味合いが全く逆で、故人に大変失礼な内容になってしまっている。

 しかも、間違えた理由が「文字が乱雑だったため、読み間違えた」というのにも驚いた人も多いに違いない。ではそもそもテレビ番組のテロップはどのように作成されていて、なぜ間違えるのか。その理由について自分なりに調べ、まとめた情報で解説していきたい。

ニュース・ワイドショーとバラエティでは全く違う「テロップの作り方」

 テロップの作成方法は、ニュース・ワイドショーなどの生放送系と、バラエティなどのパッケージ番組で実は大きく違い、ニュース・ワイドショーなどの番組では、ほぼ全て放送局の内部でテロップが作成されており、局によっても若干事情は違うが発注はほぼオンライン化されているそう。

 番組を制作するディレクターや記者が、パソコン端末に文字データなどを入力して発注し、それを元に美術・CGの担当者が体裁を整えてテロップを完成させる。完成したテロップはVTRに焼きこむこともあるらしく、「生づけ」と言ってディレクターやタイムキーパーが生放送中にスイッチを押して出すこともあるそう。

 それに対して、バラエティ番組などではほぼ、外部の編集スタジオの編集機でテロップを焼きこむことが多いらしい。この場合文字はADさんがパソコンなどで打ち込み、それを編集マンが体裁を整えることになるそう。

 上記の解説でお分かりだろうが、ニュース・ワイドショーの方が格段にテロップのミスは起こりにくい環境にある。テロップのミスには大きく分けて、「誤字」と「内容の間違い」があると思うのだが、そのうち「誤字」に関していえば近年、ニュース・ワイドショーのテロップでは、非常に少なくなるようなシステムが組まれているからだ。

 発注された文字が間違っていた場合、テロップ作成システムに校閲システムが内蔵されていて、自動的に「この文字はおかしい」と指摘してくれるようになっている局が多いそう。しかもテロップを作成するのは、その道の専門家である担当者らしい。日頃から間違いやすい文字などを意識してテロップを作成しているから、間違いに気づきやすく、すぐに現場のディレクターに確認してくれるとのこと。

 それに比べて外部の編集所でテロップづけをするバラエティ番組では、激務で疲労しているADやディレクターと、「テロップの専門家ではない」編集マンが作業を行うことになるので、テロップづけ段階では格段にミスが多く発生しやすい環境にあると言えると思う。